補助金ラッシュの今、gBizIDがボトルネックに
秋口から冬にかけては、「省力化補助金」「ものづくり補助金」「新事業進出補助金」など、
複数の補助金が同時期に公募を迎える“補助金ラッシュ”の時期です。ところが今、多くの企業が意外なところで足止めを食っています。
――それがGBizID(ジービズID)の発行遅延です。
GBizIDとは?
GBizIDは、補助金の電子申請システム(Jグランツ)を利用するために必要な法人用アカウントです。紙の印鑑証明の代わりに、電子的に「会社の本人確認」を行う役割を持っています。このIDがなければ、補助金の申請ボタンを押すことすらできません。
通常は郵送書類の受付後に発行されますが、申請が集中する時期は発行まで2〜3週間かかるケースも。準備が整っていても、IDが間に合わず申請できないトラブルが実際に起きています。
なぜ遅れる?3つの落とし穴
① 申請集中による審査遅延
締切の2〜3週間前は全国から申請が殺到。郵便受取・書類確認・審査といった工程は人手対応のため、タイムラグが発生しやすくなります。
② 書類不備による“再申請ループ”
代表者印のかすれ、旧字体(例:邉/邊)の不一致、登記住所の相違など、小さな不備でも否認されます。否認→再郵送→再審査でさらに時間を失いがちです。
③ 代表者変更や法人登記のズレ
代表交代や移転直後は、登記簿と申請情報が一致しないと発行できません。Jグランツは登記情報を前提に認証するため、登記の最新化が必須です。
トラブルを防ぐためのチェックリスト
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 登記情報 | 代表者名・住所が最新の登記簿と完全一致しているか |
| 印鑑 | 登記印(丸印)で押印し、にじみ・かすれがないか |
| 本人受取 | 「本人限定受取郵便」を確実に受け取れる体制(長期出張・不在の回避) |
| メールアドレス | 入力ミスや重複登録がないか、受信設定は適切か |
| 発行状況 | 過去にIDが発行済みかを確認(代表者・法人情報が同一なら流用可) |
ワンポイント:不備通知が来たら、まず文面を正確に読み込むこと。同じ不備で再否認される事例が少なくありません。
補助金は「計画」よりも「準備」が先行する時代へ
補助金申請の電子化が進み、紙ではなくIDとデータが“信用の証明”になりました。採択を目指す前に、まずは「申請できる状態」を整えること。これが今の補助金実務における新常識です。
特に今期は制度が重なり、早めのGBizID取得が採択の第一歩。いつでも申請できる状態を整えることは、補助金を確実に掴むための経営のリスクヘッジと言えるでしょう。


