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こんにちは、フラッグシップ経営の杉原です。
今日は、ものづくり補助金・事業再構築補助金ともに加点項目として認められる「えるぼし認定」「くるみん認定」についてご紹介します。えるぼし認定
この制度は、「女性活躍推進法」に基づいた制度で、一定基準を満たし、女性の活躍推進に関する状況などが優良な企業を認定するものです。〝女性が能力を発揮しやすい職場であるか〟という観点から、定められた5つの評価項目の合致状況によって認定の可否が決まります。また、合致度に応じて認定段階が決定します。
5つの評価項目
- 採用
- 継続就業
- 労働時間等の働き方
- 管理職比率
- 多様なキャリアコース
※5つの評価項目の詳細についてはこちらからご覧ください。
認定の段階
- 5つ全ての基準を満たす:3段階目
- 3~4つの基準を満たす:2段階目
- 1~2つの基準を満たす:1段階目
(さらに上の段階として「プラチナえるぼし認定」というのもあります)
項目ごとに基準達成状況の算出方法がありますが、「男女別の採用における競争倍率が同程度であること」や「女性労働者の平均勤続年数が、産業ごとの平均値以上であること」など、主に〝自社内での男女比率〟で判定するものと〝産業ごとの平均値以上かどうか〟で判定するもので構成されているようです。
えるぼし認定制度は認定されたら終わり、というわけではなく、5つの評価項目の実績を毎年「女性の活躍推進企業データベース」にて公表する必要があります。くるみん認定
くるみん認定は次世代育成支援対策推進法に基づいた制度です。行動計画を策定しその行動計画に定めた目標を達成するなど一定の要件を満たした上で、必要書類を添えて申請を行うと「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定「くるみん認定」を受けることができます。
10項目の認定基準
- 雇用環境の整備について、行動計画策定指針に照らし適切な行動計画を策定したこと
- 行動計画の計画期間が、2年以上5年以下であること
- 策定した行動計画を実施し、計画に定めた目標を達成したこと
- 策定・変更した行動計画について、公表および労働者への周知を適切に行っていること
- 計画期間における、男性労働者の育児休業等取得率が10%以上であり、当該割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること。または、計画期間における男性労働者の育児休業等取得率および企業独自の育児を目的とした休暇制度利用率が、合わせて20%以上であり、当該割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること、かつ、育児休業等を取得した者が1人以上いること
- 計画期間における、女性労働者の育児休業等取得率が、75%以上であり、当該割合を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」で公表していること
- 3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者について、「育児休業に関する制度、所定外労働の制限に関する制度、所定労働時間の短縮措置または始業時刻変更等の措置に準ずる制度」を講じていること
- フルタイムの労働者等の法定時間外・法定休日労働時間の平均が各月45時間未満であること。かつ、月平均の法定時間外労働60時間以上の労働者がいないこと
- 次の3ついずれかの措置について、成果に関する具体的な目標を定めて実施していること
- 所定外労働の削減のための措置
- 年次有給休暇の取得の促進のための措置
- 短時間正社員制度、在宅勤務、テレワークその他働き方の見直しに資する多様な労働条件の整備のための措置
- 法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないこと
※認定基準の詳細はこちらから
認定基準1~10をすべて満たしたらくるみん認定の申請を行えます。なお、基準を満たさなくなった場合は認定が取り消されますのでご注意ください。
ご紹介したどちらの制度も細かい要件が複数にわたって設定されているため、認定取得にチャレンジする場合は社会保険労務士などの外部専門家に相談するのがよいかと思われます。
今回ブログを書くにあたって初めて二つの制度の詳細について調べましたが、非常に手間がかかるものであり、補助金の加点を第一目的にして認定を受けるのは現実的ではないのではないか、という印象を受けました。「この制度の認定を受けていれば補助金申請の際に加点として認める」というものとしては、事業継続力強化計画やパートナーシップ構築宣言などの制度もあります。
これらの認定取得については当社でも多数の支援実績がございますので、お気軽にお問い合わせください。 -
こんにちは、フラッグシップ経営の江口です。
しばらく再構築補助金の話題が続きましたが、今回は新たな公募要領が発表されたものづくり補助金について説明したいと思います。
ものづくり補助金は補助上限こそ少額ですが、再構築補助金と異なり何度でも申請が可能であり、既存事業の生産性向上(=たくさん作れる、よりよく作れる)に対する設備投資に補助が出るため、小規模な投資や定期的な投資にはぴったりです。15次公募の概要
趣旨
「中小企業自身の経営力を高め、事業計画期間にわたって生産性を高めることを支援する」
補助金の趣旨自体は前回の公募回から変更がありません。具体的にどれだけ改善できるのか?を計画書にしっかり記載しましょう。応募締切・採択発表
応募締切:令和5年7月28日(金) 17時
採択発表:令和5年9月下旬頃(予定)
締め切りは7月末と少し余裕があるように見えますが、油断するとすぐに締め切りがやってきます。
早めに設備投資内容を決定し、計画書の作成や資料準備に取り掛かりましょう。申請の要件
ものづくり補助金を申請するために必ず守らなければならない要件は下記の通りです。
①給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させる
②事業場内最低賃金(補助事業を実施する事業場内で最も低い賃金)を毎年、地域別最低賃金+30円以上の水準とする
③事業者全体の付加価値額を年率平均3%以上増加させる①~③は、申請時に作成する事業計画の期間内(3年~5年)で達成する計画を策定します。
特に②に関しては、計画期間内に最低賃金の改定があった場合も含めて常に達成する必要があります。
賃上げを忘れていた、最低賃金を意識していなかった等の場合は補助金返還を求められます。ここまでは前回の公募回と同様の内容です。
追加された注意点
ここからは、第15回から特に注意すべき点として要綱に盛り込まれているポイントをご説明します。
従業員数の数え方について
ものづくり補助金において、従業員数は補助上限を決定する大切な指標です。代表取締役や監査役など、登記上の役員は従業員には含まれないことに注意が必要です。
要綱には「代表取締役や専従者等の常勤従業員に当てはまらない者が含まれていることが判明した場合、採択取消等になることがあります。」との記載が追加されており、設備やシステムの発注先について
同一代表者・役員が含まれている事業者、資本関係がある事業者を機械装置・システム構築費の発注先とすることはできません。
補助金採択後の手続きや報告について
補助金は採択された後にも、各ポイントで報告等の義務があります。
①交付申請
何をいくらで購入するのか、その設備・システムの内容について申請を行います。
この手続きが完了して初めて設備やシステムの発注ができます。
②実績報告
設備を導入した後、導入した証拠書類(写真や伝票関係、通帳の写しなど)を提出し、交付申請の内容通りに設備が導入されているかが確認されます。
③事業化報告
事業計画書通りに事業が行えているか、また賃上げ等表明した事項が順守されているかを報告します。
今回から要綱には、本手続きを怠った場合、または虚偽の報告を行った場合に「補助金の返還を求めることがあります。」との記載が追記されました。忘れずに手続きを行えるよう、事前に計画立てておきましょう。まとめ
要件や制度の趣旨に変更はありませんでしたが、注意点がいくつか追加されています。
特に誤りの多い点であるため要綱に盛り込まれていると思われます。
ご自身で計画書や申請資料を作成される際には、きちんと対応できているかを申請前に再確認してみてください。
どこに気をつければいいのか不安な方は、弊社がしっかりサポートいたします。
よろしければご相談ください。 -
こんにちは、フラッグシップ経営の㮈本です。
6月30日に事業再構築補助金の第10回の締切があります。
弊社では過去9回にわたり多くの事業者様のご支援をさせていただきました。
採択後の交付申請や実績報告などのお手続きの中で、事業再構築補助金ならではの注意したい事項をご紹介します。
ご紹介する内容としては、ものづくり補助金などでは対象経費として認められていない建物費に関してです。
特に注意したいのが新築の建物についてです。
新築の建物を、補助金を通じて建設する際に多くの企業様が金融機関から資金調達を行い、お金を工面すると思います。
その際に、融資の条件として土地や建物に対して担保を設定する必要があるケースです。
建物の融資は金額が大きくなることが一般的ですので、多くの場合に金融機関は担保設定をしたがります。
担保設定には二つの種類のものがあります。
1つ目は、住宅ローンなどでもよく設定される抵当権というものです。
簡単に説明すると、抵当権を設定して融資をした場合は特定の借入に対して設定された担保であるため、新しく借入を行いたい場合は別の担保を設定する必要があるといったものになります。
住宅ローンを借りている人がお金に困った場合、住宅ローンの担保を利用して他に利用するためのお金を借りることは基本的にできません。
あくまで家を買うためのローンなので、何か別のものを買うために担保として活用することはできない仕組みとなっています。
2つ目は、根抵当権というものです。
抵当権と名前が似ており、担保という意味では同じですが根抵当権はあらかじめ定めた極度額の範囲内でいつでも融資が可能なものになります。
こちらの担保設定では、複数の借入を一括して担保に設定することが可能です。
中小企業の多くが、担保を設定する際に根抵当権を設定し運転 資金などを調達していると思います。
設定された極度額の範囲内であれば、融資を提案しやすいため多くの金融機関が根抵当権の設定を好みます。(融資審査があるため、必ず極度額分の借入ができるというものではありません)
ここで注意して欲しいのが、一般的な借入であれば根抵当権でも問題ないですが、事業再構築補助金では補助金で建設した建物に関しては、この根抵当権を設定することを禁止されています。(土地の根抵当権設定は認められています)
恐らく補助金で建設した建物に、根抵当権を設定して事業と関係のない資金調達に利用されることを回避するためであると思います。
しかし、建物に根抵当権を設定してはいけないといった条件を金融機関の担当者が知らないといったケースも多くありますので、補助金申請の際にはご注意下さい。
事前着手などを活用して、すでに建物に根抵当権が入ってしまっている場合は、実績報告の際に根抵当権を抹消し、新たに抵当権を設定する必要がある上、事務局に抵当権で設定する旨を承認される必要がございます。
根抵当権を抹消し、抵当権を再度設定するためには、金融機関の承認や司法書士による手続きなど、費用や煩雑な手続きが増えます。
そのため、事業再構築補助金で建物を建設する際には抵当権で設定して進める旨を金融機関のご担当者の方とご相談下さい。
事業再構築補助金の公募要領には、きちんと根抵当権の設定が禁止されていることが明記されていますが、聞きなれない言葉ですので気づかない事業者様も多いです。
また、事務局から事前に声掛けなどもないので、建物費を補助金の対象とする場合はお早めに認定支援機関や金融機関の担当者にご相談下さい。
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誠に勝手ではございますが、ゴールデンウィーク期間中、弊社は下記のとおり休業させていただきます。
■休業日 4月29日(土)~5月7日(日)
休暇期間中にいただきましたお問い合わせやメールについては、2023年5月8日(月)以降に順次回答させていただきます。
大変ご迷惑をおかけしますが、何卒ご了承下さいますようよろしくお願い申し上げます。
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こんにちは、フラッグシップ経営の杉原です。
事業再構築補助金10回公募の注意点シリーズ。3回目は公募要領に記載されている細かな注意点についてです。応募申請の際は、「申請要件はどんな内容か」「補助金がいくらもらえるのか」「どんなものを補助対象にできるのか」といったことが特に気になりますよね。ですが、それと同様に、公募要領中で何気なく読み流してしまっている文章が非常に重要なのです。
これらを把握しないまま応募申請し、採択された後に「採択取消」や「補助金返還」などの事態に発展することも…。
せっかく申請した事業計画や、採択が無駄にならないように、公募要領や補助事業の手引きは最初から最後までお目通しいただくことをおすすめします。今回のブログでは、トラブルになりがちなことや「え?そんなとこまで?」と思われがちな細かな注意点をご紹介いたします。10回公募から追記されたものと、以前から記載があったものの見落としが多い部分をピックアップしています。
ただし、あくまで抜粋したものですので、応募申請時や採択後手続き時はくれぐれも皆様ご自身で公式の資料をご参照ください。説明会への参加
- 応募申請前の説明会への参加
申請の前に、必ず事務局が実施する説明会に参加してください。説明会の詳細は、事務局HPを確認してください。(公募要領30ページ)
→2023年4月19日現在、事業再構築補助金事務局HPに案内はありません。今後更新されると思われますので随時HPを確認しましょう。- 採択後の説明会への参加
本事業に採択された事業者は、事務局が実施する説明会に参加しなければなりません。参加しない場合は、交付申請を受け付けません。(公募要領39ページ)
→過去公募回でも、採択された事業者様あてに事務局からメールにて採択後説明会の案内が届いています。10回公募から案内方法が変更になるかは不明ですが、どのような形であれ、「採択後の説明会には必ず参加しなければいけない」という点はお忘れなきようご注意ください。補助対象経費の内容による不採択・採択取消の可能性
計上されている経費の大半が補助対象外である場合、補助事業の円滑な実施が困難であるとして、不採択・採択取消になりますのでご注意ください。(公募要領35ページ)
→補助対象外となる経費については、同35ページに記載があります。当社でご支援する場合には、応募申請時点で補助対象外とみなされる可能性のあるものは除外するようアドバイスさせていただきます。保険または共済への加入義務
補助金額が 1,000 万円を超える案件では、本事業により建設した建物等の施設又は設備を対象として、次に定める付保割合を満たす保険又は共済(補助金の交付対象である施設、設備等を対象として、自然災害(風水害を含む。)による損害を補償するもの)への加入義務を負うことについて同意していただきます。ただし、小規模企業者にあっては、この限りではなく、保険又は共済加入に代わる取組を実施することでも差し支えありません。
・小規模企業者 加入推奨(推奨付保割合 30%以上)
・中小企業等 30%以上
・中堅企業等 40%以上
(公募要領27ページ)
補助対象経費の支払方法
補助対象経費は、補助事業実施期間内に補助事業のために支払いを行ったことを確認できるものに限ります(外国通貨の場合は、支払日当日の公表仲値で円換算)。交付決定より前 (事前着手申請を得ている事業者は令和4年12月1日以前)に契約(発注)した経費は、いかなる事情があっても補助対象になりません。支払いは、銀行振込の実績で確認を行います(現金払・手形払等は対象外)。(公募要領36ページ)
→補助事業(設備等の投資)が終了した後に行う「実績報告」の際に、銀行振込を行った通帳のコピー等の提出が求められます。今回は公募要領に記載のあるポイントについてご紹介いたしましたが、以前コラムで取り上げた「収益納付」など補助事業の手引きの中にも注意が必要な箇所がございます。
補助金活用の際は、公募要領や手引きをよく読み応募申請するようお気をつけください。なお、記載してある文言がどういうことを意味しているのか?と理解しづらいものもあるかと思いますが、その際は当社にお気軽にお問い合わせください。