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こんにちは、市位です。
今回はものづくり補助金の実績報告書作成に取り組まれている事業者様に向けて、実績報告とは何か?どんな資料が必要なのか?についてポイントを交えながらご紹介いたします。
1. 実績報告書とは
補助事業完了後、補助事業の具体的内容とその成果を記載した「実績報告書」を作成し、事務局に提出します。
その他にも証票書類の提出が必要となるため、大切に保管していただく必要があります。
2. 実績報告書の記載内容
補助金の申請時に提出した事業計画の達成を支援する補助金となっているため、事業計画とその取り組み内容や成果について具体的に記載する必要があります。
実績報告書のフォーマットはこちらからダウンロードいただけます。
①計画内容
・交付申請時に提出した計画の内容
・計画に変更があった場合はその変更内容
・課題や達成目標、スケジュール等
②取組内容
・事業実施内容の経過
・具体的な取組内容
③取組成果
・補助事業によって達成した成果
・その結果の達成度
◎ポイント
生産効率化や加工精度がどのくらい上がったのか数値を記載し、その効果が当初の計画を達成しているのか検証を行います(効果の検証)。
検証の様子のお写真や検証結果を図やグラフを用いて具体的に記載することが求められます。
3. 証票書類
以下8点の証票書類は提出が必要となりますので、大切に保管いただくようお願いいたします。
①見積依頼書 ※見積書の内容に沿って作成
②見積書 ※交付申請時にご準備いただいたもの(内容に変更がない場合)
③相見積書 ※交付申請時にご準備いただいたもの(内容に変更がない場合)
④注文書(または契約書) ※発注したことがわかる書類
⑤受注書 ※注文を受けたことがわかる書類
⑥納品書
⑦請求書
⑧振込依頼書
◎ポイント
日付の整合性が取れていないと差戻しとなりますので、発行日が①~⑧の順番になるよう注意が必要です。
4. 撮影が必要なお写真
必ず撮影が求められるお写真は以下の5点です。
①設備設置前のスペース
②設備等の搬入時の様子
③送付伝票 ※存在しない場合は不要
④導入した設備等の全体が分かる写真
⑤設備を操作している様子
◎ポイント
特に①~③は撮り直しが困難である可能性が高いため、ご注意ください。
※上記以外にも撮影が求められる場合がございます。
5. 提出方法
提出資料が揃い、実績報告書の作成が完了した後は地域事務局のご担当者様に実績報告資料一式のご提出
をお願いいたします。ご担当者様と提出資料のブラッシュアップを行った後、Jグランツへ提出を行います。
6. まとめ
実績報告は交付申請よりも資料準備に時間を要する場合が多いです。
どれだけ完璧に準備をしても差戻しは付き物ですので、早く事務局の担当者様に提出し、ブラッシュアップに時間を掛けることが実績報告を早く終えるポイントです。
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こんにちは、秋定です。
前回、高市内閣の誕生と連立政権の方針から、2026年度の中小企業向け補助金の方向性について考察しました。
今回は、2025年11月21日に閣議決定・発表された「「強い経済」を実現する総合経済対策」について」の内容をもとに、より具体的な中小企業支援の動向を読み解いていきます。
中小企業支援は「賃上げ」と「省力化」がキーワード
今回の経済対策の中で特に注目すべきなのが、持続的・構造的な賃上げの実現に向けた、生産性向上支援の強化です。
政府は、
- 適切な価格転嫁の推進
- 生産性向上支援による最低賃金引き上げに対応できる環境整備
- 中小企業・小規模事業者の業務改善・設備投資への支援強化
- 賃上げ促進税制の活用による賃上げモメンタムの維持・向上
といった取り組みを明確に打ち出しています。さらに、賃上げ促進税制を活用できない中小企業・小規模事業者も支援対象とし、地域の実情に応じた支援を行う方針も示されました。
非正規雇用労働者の処遇改善や、地域間の最低賃金格差の是正にも踏み込んでおり、より広範な労働環境の底上げが目指されています。加えて、「稼ぐ力」の強化策として、
- 省力化投資
- 生産性向上のための設備投資
- 事業承継・M&Aの支援強化
- 成長投資を後押しする新たな補助施策の検討
といった取り組みが明記されており、「強い中小企業」への転換を促す方針が一段と鮮明になった形です。「売上100億円企業」の創出と省力化投資の加速
対策の中では、事業規模や成長ステージに応じたきめ細かい支援の必要性にも言及されています。
特に、
- 売上高100億円を目指す「100億宣言企業」への重点支援
- 地域経済を牽引する「スケールアップ型企業」の創出
- 生産性向上やM&A、販路開拓、デジタル化を進める「パワーアップ型企業」への支援強化
といった方針が打ち出されています。また、人手不足が深刻な業種を中心に、「省力化投資促進プラン」に基づく支援の拡充、サポート体制の整備が進められる予定です。
これは、これまで実施されてきた「ものづくり補助金」「省力化補助金」などの流れが、2026年度以降さらに強化・発展していく可能性が高いことを示唆しています。
今から準備しておきたいポイント
今回の経済対策を踏まえると、中小企業が今から取り組むべき方向性もより明確になってきました。
具体的には、
- 省力化・自動化につながる設備投資の検討
- 設備や生産工程などの問題点の把握
- 補助金申請サポートを行う専門家・認定支援機関への相談
といった準備を、できるだけ早い段階から進めておくことが重要になりそうです。これらの準備ができているかどうかで、公募開始後の動き出しの速さと、採択の可能性に大きな差がつくといえるでしょう。
まとめ
今回発表された総合経済対策では、中小企業の「賃上げ」「省力化」「高付加価値化」を支援する姿勢が、これまで以上に明確になりました。
補助金は単なる資金援助ではなく、「強い企業」へと成長するための手段のひとつです。
だからこそ、公募が始まってから慌てるのではなく、今この瞬間から準備を始めることが、2026年度を勝ち取る最大のポイントになるといえるでしょう。今後も、新たな発表や制度の詳細が明らかになり次第、わかりやすく整理していきます。
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こんにちは、田邉です。
中小企業省力化投資補助金(一般型)では、今回より 新たに2つの加点項目 が設定されました。それが、
・地域別最低賃金に係る加点
・事業場内最低賃金に係る加点
の2つです。追加されたばかりの項目であり、企業側・支援者側ともに誤解が非常に多いポイントでもあります。
この2つの加点をシンプルに解説しながら、「どうすれば加点を取れるのか」を実務目線で整理します。今回追加された「2つの加点」をシンプルに解説
(1)地域別最低賃金に係る加点
これは“都道府県ごとの最低賃金引き上げ”に連動する加点です。
ただし誤解が多いのが、「最低賃金が上がった → 自動的に加点ではない」 という点。
必要なのは、最低賃金引上げに伴って、自社が適切な賃金改善に取り組んでいることです。
つまり、国の最低賃金改定に合わせる“姿勢”と“実績”が評価対象。
特にパート・アルバイトの時間給が最低賃金付近の場合、影響が大きく加点を取りやすい項目です。(2)事業場内最低賃金に係る加点
こちらは 企業(事業場)内で最も低い時給をいくらに設定するかが焦点。
加点のイメージとしては:
・地域最低賃金 +●円
・自社内で最低賃金ラインを大きく上回る設定
・全従業員を一定水準以上に引き上げる
など、「自社の最低賃金基準を底上げする取り組み」が評価されます。従業員1名の会社でも加点対象になる?
結論「なる。」ただし注意が必要。
その1名の“時給換算額”が最低賃金よりどれだけ上か
固定残業代・手当をどう扱うか(時間給換算の正しい計算)が必要です。加点を取るために企業が準備すべき3つのこと
① 賃金台帳の整理
どの従業員の賃金が最低賃金に近いかを把握する。
② “最低賃金該当者”の抽出
・時給換算
・内訳
・残業代を含めない計算
ここを正しく行う必要がある。
③ 補助事業期間中の引上げ計画
いつ・いくら・どの層を引き上げるか。
“計画的かつ持続可能”であることが重要。審査員がこの加点を評価する理由
・賃上げは国の最重要テーマ
・設備投資 → 生産性向上 → 賃上げ の好循環を期待している
・単なる“コスト削減目的の省力化”は評価されにくい
・「賃金改善の意思がある企業」は採択後の成功率も高い
・形式的な賃上げではなく、根拠ある計画を好む
特に省力化補助金は、“削減できた時間をどう生かすか” がキーポイント。
賃上げと絡めると、審査ロジックが非常に強くなる。付録/参考資料
「令和7年度 地域別最低賃金 全国一覧」(厚生労働省)
※本コラムで解説した「地域別最低賃金に係る加点」の検討にあたって、自社の所在都道府県の最低賃金時間額・引上げ額・発効日を本資料でご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001571192.pdf
本資料を利用して、支援企業では「所在都道府県の引上げ額 + 自社の取組み状況」を把握し、申請書の該当箇所に数値を記入することをお勧めします。弊社では、補助金の計画書作成や申請、採択後のご支援を一貫して承っております。
補助金の活用をご検討されている方は、ぜひご相談ください。 -

こんにちは、鮫島です。
補助金の申請準備を進めていると、「この設備は対象になるのだろうか?」「公募要領の記載内容はどのように解釈すればいいのか?」と迷うことがたくさんあります。そんなとき頼りになるのが事務局への問い合わせですが、実は質問の伝え方ひとつで、得られる回答の精度が大きく変わることをご存じでしょうか。
この記事では、補助金事務局への問い合わせをスムーズに進めるための「わかりやすい伝え方」のコツをご紹介します。事務局への問い合わせ方法
事務局への質問は基本的に電話での受付となります。予約が必要なコールバックシステムを採用している補助金もありますので、事前に事務局への問い合わせ方法を確認し、質問内容をまとめておきましょう。申請の締め切りが近づくと予約が埋まってしまい、電話が繋がらない、回答が中々返ってこないといったケースもございますので、お早めの対応がおすすめです。
曖昧な質問では正確な回答がもらえない
事務局には多くの問い合わせが寄せられています。その中には「この設備、対象になりますか?」といった、情報が不足していて判断できない質問も少なくありません。
このような場合、事務局は一般的な回答しかできず、「対象外とまでは言えませんが、最終判断は申請内容によります」といった曖昧な返答になることが多いのです。せっかく問い合わせるなら、事務局が具体的に判断できる材料を示すことが重要です。わかりやすい質問にする3つのポイント
①事実を添えて質問する
設備名や導入目的、使用方法を簡潔に伝えましょう。
たとえば次のように具体的に書くと、事務局も判断しやすくなります。(例)「生産工程の自動搬送を目的に、△△社製の□□装置を導入予定です。
このような設備は“自動化・省力化”に該当しますか?」② 募集要項の該当箇所を明示する
どのページ・どの項目について聞きたいのかを明確にします。
(例)「要項P7の『補助対象経費(機械装置費)』に関して質問です。」
この一言を添えるだけで、事務局側はすぐに該当部分を確認でき、回答が早くなります。
③ 推測を求めず、判断材料を聞く
「採択されそうですか?」といった質問は避けましょう。
事務局は採択の可否を判断する立場ではなく、要項に沿って説明を行う役割です。(例)「この取組内容は“生産性向上に資する取組”の趣旨に沿っていますか?」
と尋ねると、事務局も答えやすくなります。まとめ:伝え方が申請の精度を高める
補助金の問い合わせはしっかりと「下準備」を行い、その上で正確に必要な情報を「伝える力」が重要です。事務局が「質問の意図・背景・対象・目的・判断基準」をすぐ把握できるように整理して伝えることが、回答スピードと正確性が格段に向上します。
事務局へ丁寧に質問を行い、時間をかけて一つずつ不明点を解消していくことは、結果的に、申請書作成の無駄を減らし、より戦略的で精度の高い申請書の作成につながります。
ぜひ、次に事務局へ問い合わせる際は、今回のポイントを意識してみてください。弊社では、補助金の計画書作成や申請、採択後のご支援を一貫して承っております。
補助金の活用をご検討されている方は、ぜひご相談ください。 -

こんにちは、近藤です。
今回は省力化補助金についてです。
中小企業省力化投資補助金(通称:省力化補助金)は、人手不足を補うための自動化・効率化投資を支援する制度です。
その申請要件の中でよく登場するのが「労働生産性」。
最近では「人時生産性」という言葉も耳にするようになりました。この記事では、この2つの違いと、補助金で求められるポイントを簡単に整理します。
労働生産性とは?
労働生産性とは、従業員一人あたりがどれだけの価値(付加価値)を生み出しているかを示す指標です。
補助金では、企業の「稼ぐ力」を測るための主要な基準になります。計算式:(営業利益+人件費+減価償却費)÷ 従業員数
たとえば10人の会社で付加価値額が3,000万円なら、
労働生産性は1人あたり300万円ということになります。省力化補助金では、この数値を年平均4%以上向上させる計画を立てることが求められます。
人時生産性とは?
一方の人時生産性は、1時間あたりでどれだけ価値を生み出しているかを表します。
計算式:付加価値額 ÷ 総労働時間
これは現場の効率性を測るのに適した指標で、
「作業時間を減らして成果を上げる」など、日常改善に役立ちます。2つの違いを簡単にまとめると

つまり、労働生産性は全体の効率性、
人時生産性は現場の効率を表すイメージです。■ 補助金で重視されるのは「労働生産性」
省力化補助金では、設備導入によって労働生産性がどれだけ上がるかを明確に説明する必要があります。
たとえば、- 自動検査機の導入で作業時間を30%短縮
- 無人レジ導入で同じ人員で対応可能人数を増加
といったように、「同じ人数でより多くの成果を上げる仕組み」を作ることが重要です。
まとめ
- 労働生産性は「1人あたりの付加価値」
- 人時生産性は「1時間あたりの付加価値」
- 補助金では労働生産性の向上(年平均4%以上)が求められる
数字で効果を説明できる企業ほど、採択されやすくなります。
まずは自社の生産性を計算し、どの工程がボトルネックになっているかを見直してみましょう。弊社では、補助金についてのさまざまなご質問・ご相談にも対応させていただいております。
お困りごとがございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。