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こんにちは、田邉です。
中小企業省力化投資補助金(一般型)では、今回より 新たに2つの加点項目 が設定されました。それが、
・地域別最低賃金に係る加点
・事業場内最低賃金に係る加点
の2つです。追加されたばかりの項目であり、企業側・支援者側ともに誤解が非常に多いポイントでもあります。
この2つの加点をシンプルに解説しながら、「どうすれば加点を取れるのか」を実務目線で整理します。今回追加された「2つの加点」をシンプルに解説
(1)地域別最低賃金に係る加点
これは“都道府県ごとの最低賃金引き上げ”に連動する加点です。
ただし誤解が多いのが、「最低賃金が上がった → 自動的に加点ではない」 という点。
必要なのは、最低賃金引上げに伴って、自社が適切な賃金改善に取り組んでいることです。
つまり、国の最低賃金改定に合わせる“姿勢”と“実績”が評価対象。
特にパート・アルバイトの時間給が最低賃金付近の場合、影響が大きく加点を取りやすい項目です。(2)事業場内最低賃金に係る加点
こちらは 企業(事業場)内で最も低い時給をいくらに設定するかが焦点。
加点のイメージとしては:
・地域最低賃金 +●円
・自社内で最低賃金ラインを大きく上回る設定
・全従業員を一定水準以上に引き上げる
など、「自社の最低賃金基準を底上げする取り組み」が評価されます。従業員1名の会社でも加点対象になる?
結論「なる。」ただし注意が必要。
その1名の“時給換算額”が最低賃金よりどれだけ上か
固定残業代・手当をどう扱うか(時間給換算の正しい計算)が必要です。加点を取るために企業が準備すべき3つのこと
① 賃金台帳の整理
どの従業員の賃金が最低賃金に近いかを把握する。
② “最低賃金該当者”の抽出
・時給換算
・内訳
・残業代を含めない計算
ここを正しく行う必要がある。
③ 補助事業期間中の引上げ計画
いつ・いくら・どの層を引き上げるか。
“計画的かつ持続可能”であることが重要。審査員がこの加点を評価する理由
・賃上げは国の最重要テーマ
・設備投資 → 生産性向上 → 賃上げ の好循環を期待している
・単なる“コスト削減目的の省力化”は評価されにくい
・「賃金改善の意思がある企業」は採択後の成功率も高い
・形式的な賃上げではなく、根拠ある計画を好む
特に省力化補助金は、“削減できた時間をどう生かすか” がキーポイント。
賃上げと絡めると、審査ロジックが非常に強くなる。付録/参考資料
「令和7年度 地域別最低賃金 全国一覧」(厚生労働省)
※本コラムで解説した「地域別最低賃金に係る加点」の検討にあたって、自社の所在都道府県の最低賃金時間額・引上げ額・発効日を本資料でご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001571192.pdf
本資料を利用して、支援企業では「所在都道府県の引上げ額 + 自社の取組み状況」を把握し、申請書の該当箇所に数値を記入することをお勧めします。弊社では、補助金の計画書作成や申請、採択後のご支援を一貫して承っております。
補助金の活用をご検討されている方は、ぜひご相談ください。 -

こんにちは、鮫島です。
補助金の申請準備を進めていると、「この設備は対象になるのだろうか?」「公募要領の記載内容はどのように解釈すればいいのか?」と迷うことがたくさんあります。そんなとき頼りになるのが事務局への問い合わせですが、実は質問の伝え方ひとつで、得られる回答の精度が大きく変わることをご存じでしょうか。
この記事では、補助金事務局への問い合わせをスムーズに進めるための「わかりやすい伝え方」のコツをご紹介します。事務局への問い合わせ方法
事務局への質問は基本的に電話での受付となります。予約が必要なコールバックシステムを採用している補助金もありますので、事前に事務局への問い合わせ方法を確認し、質問内容をまとめておきましょう。申請の締め切りが近づくと予約が埋まってしまい、電話が繋がらない、回答が中々返ってこないといったケースもございますので、お早めの対応がおすすめです。
曖昧な質問では正確な回答がもらえない
事務局には多くの問い合わせが寄せられています。その中には「この設備、対象になりますか?」といった、情報が不足していて判断できない質問も少なくありません。
このような場合、事務局は一般的な回答しかできず、「対象外とまでは言えませんが、最終判断は申請内容によります」といった曖昧な返答になることが多いのです。せっかく問い合わせるなら、事務局が具体的に判断できる材料を示すことが重要です。わかりやすい質問にする3つのポイント
①事実を添えて質問する
設備名や導入目的、使用方法を簡潔に伝えましょう。
たとえば次のように具体的に書くと、事務局も判断しやすくなります。(例)「生産工程の自動搬送を目的に、△△社製の□□装置を導入予定です。
このような設備は“自動化・省力化”に該当しますか?」② 募集要項の該当箇所を明示する
どのページ・どの項目について聞きたいのかを明確にします。
(例)「要項P7の『補助対象経費(機械装置費)』に関して質問です。」
この一言を添えるだけで、事務局側はすぐに該当部分を確認でき、回答が早くなります。
③ 推測を求めず、判断材料を聞く
「採択されそうですか?」といった質問は避けましょう。
事務局は採択の可否を判断する立場ではなく、要項に沿って説明を行う役割です。(例)「この取組内容は“生産性向上に資する取組”の趣旨に沿っていますか?」
と尋ねると、事務局も答えやすくなります。まとめ:伝え方が申請の精度を高める
補助金の問い合わせはしっかりと「下準備」を行い、その上で正確に必要な情報を「伝える力」が重要です。事務局が「質問の意図・背景・対象・目的・判断基準」をすぐ把握できるように整理して伝えることが、回答スピードと正確性が格段に向上します。
事務局へ丁寧に質問を行い、時間をかけて一つずつ不明点を解消していくことは、結果的に、申請書作成の無駄を減らし、より戦略的で精度の高い申請書の作成につながります。
ぜひ、次に事務局へ問い合わせる際は、今回のポイントを意識してみてください。弊社では、補助金の計画書作成や申請、採択後のご支援を一貫して承っております。
補助金の活用をご検討されている方は、ぜひご相談ください。 -

こんにちは、近藤です。
今回は省力化補助金についてです。
中小企業省力化投資補助金(通称:省力化補助金)は、人手不足を補うための自動化・効率化投資を支援する制度です。
その申請要件の中でよく登場するのが「労働生産性」。
最近では「人時生産性」という言葉も耳にするようになりました。この記事では、この2つの違いと、補助金で求められるポイントを簡単に整理します。
労働生産性とは?
労働生産性とは、従業員一人あたりがどれだけの価値(付加価値)を生み出しているかを示す指標です。
補助金では、企業の「稼ぐ力」を測るための主要な基準になります。計算式:(営業利益+人件費+減価償却費)÷ 従業員数
たとえば10人の会社で付加価値額が3,000万円なら、
労働生産性は1人あたり300万円ということになります。省力化補助金では、この数値を年平均4%以上向上させる計画を立てることが求められます。
人時生産性とは?
一方の人時生産性は、1時間あたりでどれだけ価値を生み出しているかを表します。
計算式:付加価値額 ÷ 総労働時間
これは現場の効率性を測るのに適した指標で、
「作業時間を減らして成果を上げる」など、日常改善に役立ちます。2つの違いを簡単にまとめると

つまり、労働生産性は全体の効率性、
人時生産性は現場の効率を表すイメージです。■ 補助金で重視されるのは「労働生産性」
省力化補助金では、設備導入によって労働生産性がどれだけ上がるかを明確に説明する必要があります。
たとえば、- 自動検査機の導入で作業時間を30%短縮
- 無人レジ導入で同じ人員で対応可能人数を増加
といったように、「同じ人数でより多くの成果を上げる仕組み」を作ることが重要です。
まとめ
- 労働生産性は「1人あたりの付加価値」
- 人時生産性は「1時間あたりの付加価値」
- 補助金では労働生産性の向上(年平均4%以上)が求められる
数字で効果を説明できる企業ほど、採択されやすくなります。
まずは自社の生産性を計算し、どの工程がボトルネックになっているかを見直してみましょう。弊社では、補助金についてのさまざまなご質問・ご相談にも対応させていただいております。
お困りごとがございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。
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令和7年度「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(第2回)」の採択実績を更新しました。
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こんにちは、吉川です。
本日、11月5日は「津波防災の日」です。
東日本大震災の教訓を踏まえた「津波対策の推進に関する法律」により、多くの方が津波防災への関心を持ち、理解を深められるよう制定されました。
この日は津波だけでなく、自然災害全体への備えを見直すきっかけとして重要です。近年、日本各地で震度5以上の地震が相次いでいます。
企業活動においても、突然の地震による事業停止や設備被害、従業員の安全確認といった課題は、もはや他人事ではありません。そこで注目したいのが、「J-SHIS地図(地震ハザードステーション)」という無料の公的ツールです。
今回は、「J-SHIS地図(地震ハザードステーション)」についてご紹介します。
J-SHIS地図とは?
「J-SHIS地図」は、防災科学技術研究所(NIED)が提供する地震ハザード情報サイトです。
住所や座標を入力するだけで、以下のようなデータを確認できます。・想定される最大震度
・各地点の地盤の揺れやすさ(地盤増幅率)
・活断層や震源域との位置関係
・将来30年以内の地震発生確率これらを把握することで、「自社の立地がどの程度の地震リスクを抱えているか」をデータで“見える化”できます。
事業継続力強化計画(BCP)への活用
経済産業省が推進する「事業継続力強化計画(BCP)」の策定においては、リスク把握と対策方針の明確化が求められます。
J-SHIS地図を活用すれば、「自社の地震リスクを科学的に分析したうえで計画を立てた」という根拠を示すことができます。さらに事業継続力強化計画の認定を受けていると、ものづくり補助金や省力化補助金などの申請時に加点評価を受けることもできます。
検索方法と活用ポイント
まずは一度、J-SHIS地図で自社の所在地を検索してみましょう。
地盤が弱い地域であれば、倉庫や機械の配置の見直し、建物の耐震化などを検討するきっかけになります。
また、地域のハザードマップと合わせて確認することで、より実践的な防災・減災対策を立てることができます。■当社の所在地で実際に検索した様子

※出典:防災科学技術研究所「J-SHIS地図」より引用(https://www.j-shis.bosai.go.jp/)
災害は「起こるかどうか」ではなく「いつ起こるか」。
J-SHIS地図で自社の地震リスクを把握し、早めのBCP策定・補助金活用で事業の強靭化を図りましょう。弊社では、補助金の申請のご支援を行う事業者様向けに、事業継続力強化計画などの加点項目の申請サポートも行っております。
補助金の活用をご検討されている方は、ぜひご相談ください。